破壊されたオゾン層を修復する方法はありますか?

もう成層圏のオゾン層がひどく破壊されているという話を聞いて10年はたったと思います。その影響か、半袖でこの時期外に出歩くと、腕の皮膚ががやけどしたようにひりひりと痛むことさえあります。
  
さて、その破壊されたオゾン層を修復するということは可能なのでしょうか? 例えば、大量のオゾンをボンベなどに詰め込んで気球を放ち、ちょうど成層圏に達したらボンベを開放しオゾンを撒く・・・という作業を定期的に行っていけば、オゾンホールが減っていくのではないかと思うのですが、如何でしょうか。

ご回答

一般にオゾン層の破壊といわれていることに関しましては、大きく分けて次の2つがあると思います。
 
  (1)日本上空(高度30km以高)でも起こっている、オゾンの漸減(2-3%/10年)
 
  (2)南極オゾンホール
 
(1)はフロンなどのハロゲンか炭素類が高高度の強い紫外線で光解離してできた、Cl2やClOが、オゾンを直接破壊する結果です。しかし、最もオゾンが多い成層圏の大半(10-30km高度域)では、Cl2やClOは、そこに多く存在する窒素酸化物やメタンと反応し、硝酸塩素や塩化水素という、比較的安定な、オゾン破壊能のない物質に変わっています。したがって、何もおこらなければ、ここではオゾン破壊は生じないことになります。
 
南極上空のオゾンホールは、9-11月にかけての南極大陸上空、12-22kmの高度域のオゾンが大規模に破壊される現象(ほとんどゼロになる)ですが、これは、上の、硝酸塩素や塩化水素の存在と、気象学的要素の両者の条件が揃って初めて生じる現象です。
 
気象学的要素としては、冬季の南極上空は、周囲から孤立しやすく、太陽の当たらない極夜のため極めて気温が低くなるということが挙げられます。詳細は省きますが、低い気温のために、一般ではほとんど発生しない氷晶からなる雲(極成層圏雲)がそこでのみ発生し、それが触媒となり、硝酸塩素と塩化水素から、Cl2が遊離され、同時に発生する硝酸類のみが雲に取り込まれ、孤立しやすい気象条件の中、Cl2のみが冬季(6-8月)の間に、南極上空に蓄積されます。春になり極に光が当たるようになると、Cl2はClやClOに光解離され、それがオゾンを破壊します。これがオゾンホールです。
 
いずれにせよ、ClやClOがかかわる破壊反応は、オゾンを破壊した結果、それらが破壊能のない物質になるのではなく、またもとのClやClOになるということが特徴です。なので、オゾンを修復しても、その先からすぐにオゾンは破壊され、実際上オゾンは増えないということになります。
 
有効なオゾン増加策は、(1)ではハロゲン化炭素を減らすこと、(2)ではそれに加え、気象学的条件を破壊することでしょうが (季節進行で春から夏になり、気温が上がるというような、自然の変化をによる条件の破壊を除き)、後者は難しいので、ハロゲン化炭素の減少しか有効な方法はないということになります。
 
なお、気象学的条件が変わると、(2)のオゾンホールの規模に変化が生じます。またオゾンホールの規模の変化は、逆に気象学的条件を変えます。つまり両者はフィードバックし合っています。現在この観点から、私や多くの大気科学研究者が研究を行っており、将来的なオゾンホールの規模の変化の予測に役立てています。
 
蛇足ながら、オゾンは自然の状態では赤道付近で最も少なくなっています。中高緯度ではいくらオゾン層が破壊されているといっても、赤道域よりはるかに多いオゾンが常に存在しています。また、紫外線強度も赤道よりずっと弱いです。むやみに紫外線に当たるということは避けるべきと思いますが。

もう成層圏のオゾン層がひどく破壊されているという話を聞いて10年はたったと思います。その影響か、半袖でこの時期外に出歩くと、腕の皮膚ががやけどしたようにひりひりと痛むことさえあります。

というのはオゾン破壊の結果とは関係ないと思います。

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