どうして、氷は水に浮くのですか?

 どうして、氷は水に浮くのですか?(そんなの当たり前じゃーって、突っ込まないでね)私の知識では、通常、物質って、固体の方が液体よりも重くなると考えているんですが。なぜ、H2O(エイチツーオー)だけは例外なんでしょうか?

ご回答

水分子は周囲の4つの水分子と水素結合して、正四面体型の配置をとります。
 
氷の結晶構造では、一つの水分子のとなりには4つの水分子しかありません。パチンコ玉のようにぎっしりと分子をつめこんだ場合、一つの玉のとなりには12個の玉が接することを考えると、氷の構造がいかに隙間だらけであるかがわかります。
 
氷が融けて水になると構造が乱れ、このすきまの部分に水分子が一部入りこんでくるので、配位数が1割ほど増えます。結果的に密度も1割ほど高くなりコンパクトになるのです。

水以外の多くの物質では、結晶での配位数は6~12なので、結晶構造にこのような大きなすきまがありません。そのため、おもちゃ箱につみきを詰める時のように、乱れた構造のほうがかさばります。
  
従って、正四面体型の配置を好むことが、氷が水に浮かぶ性質の原因です。ですから、Si, Ge, Ga、炭素あるいはSiO2といった、同じように正四面体型の配置を好む物質は、いずれも結晶のほうが密度が低く、固体が液体に浮かびます。
 
ところで、先日、中学生から「水のH-O-H角が109度でなかったら、水は水でなくなるのか?」という質問があったので、すこしシミュレーションを行ったことがありました。
 
そのときの結論は、
 
沸点が高い性質は、水素結合の強さに由来しているので、H-O-H角の変化には関係ない。

温度を下げると4度以下で水が膨張する性質は、水が正四面体型の配置を好むことに由来している。H-O-H角を変化させると、正四面体配置がとれなくなり、温度を下げても膨張しない。

ということでした。簡単なシミュレーションを行っただけなので、結晶化には至らなかったのですが、おそらくH-O-H角を変えてしまうと、局所配置が正四面体型になるような、ダイアモンド構造は安定でなくなり、氷は水に浮かばなくなります。
 
この結果からも、氷が水に浮く性質に関わっているのは、水素結合やネットワークではなく、正四面体配置を好む性質であることがわかります。

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